教員が節税するための手法である「所得控除の活用」の続きです。今回は、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除についてご説明します。
目次
社会保険料控除とは
教員の方ご本人、又は、一緒に生活している親族の社会保険料を支払ったときに受けられる所得控除です。
対象となる社会保険料
国民健康保険料、健康保険料、介護保険料、国民年金、厚生年金保険料 など
教員の方は、毎月の給与から差し引かれる共済掛金等が対象となります
対象となる金額
対象となる金額は1月から12月までの1年間に支払った、社会保険料の全額が控除対象になります。
社会保険料控除を受けるためには?
基本的に教員は、事務の方が年末調整の際に計算してくれているため、特に手続きは不要となります。
また、中途入社でそれ以前は国民健康保険料等を払っていた場合や家族の分の社会保険料を社会保険料控除の対象に含めたい場合は、年末調整時に会社に「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」を提出する必要がございます。
注意点、ポイント
・注意するケース
社会保険料控除は、本人と一緒に住んでいるご家族の社会保険料も対象となります。多いケースとしては、親が子どもの国民年金保険料を支払っているがございます。子どもの国民年金保険料を親が支払っていますので、親の社会保険料控除の対象となります。忘れずに控除を受けましょう。
また、国民年金保険料の支払いがあった場合は「社会保険料の控除証明書」という書類を添付しないといけませんので証明書はなくさないよう保存しておきましょう。社会保険料の控除証明書は、毎年だいたい10月末か11月初旬にハガキで送られてくるかと思います。
・現金基準
納付期日の到来した社会保険料であっても、未払いの社会保険料は控除の対象とならず、支払った年の社会保険料控除となります。
小規模企業共済等掛金控除とは
教員の方本人が小規模企業共済掛金等を支払った場合には、その掛金の所得控除が受けられます。これを小規模企業共済等掛金控除といいます。
制度の内容は社会保険料控除とほぼ同じです。掛金の全額が控除されます。以前記事に書きました確定拠出年金(ideco)は、この小規模企業共済等掛金控除に該当します。
確定拠出年金(ideco)について知りたいという方は、教員が節税するための手法(確定拠出年金の活用)をご覧ください。
小規模企業共済等掛金控除を受けるための手続き
給与所得だけの方は、年末調整の際に「給与所得者の保険料控除申告書」をに必要事項を記載して事務の方に提出しなければなりません。その際、小規模企業共済等掛金控除証明書を添付しまいといけません。
生命保険料控除とは
教員の方本人が本人又はご家族を受取人とする保険料を支払った場合には、その支払った保険料の金額を、それぞれ速算表に当てはめて求めた金額を生命保険料控除として税金が安くなります。
対象となる契約の種類
上記の生命保険料控除の対象となる契約の種類は、生命保険契約(一般)、介護保険、個人年金保険の3種類に区分されます。さらに、上記三種類を新契約(平成24年1月1日以後契約)と旧契約(平成23年12月31日以前契約)とに区分します。
控除される金額
生命保険料控除の金額は、上記区分でのそれぞれの合計額を次の速算表にあてはめて計算した金額の合計額となります。
①新契約の場合・・・一般、介護、個人年金分いずれも同じものを使用
支払った保険料の金額の合計額 | 控除額 |
20,000円以下 | 支払保険料の全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料の金額×1/2+10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料の金額×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 40,000円 |
②旧契約の場合・・・一般、介護、個人年金分いずれも同じものを使用
支払った保険料の金額の合計額 | 控除額 |
25,000円以下 | 支払保険料の全額 |
25,000円超 50,000円以下 | 支払保険料の金額×1/2+12,500円 |
50,000円超 100,000円以下 | 支払保険料の金額×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 50,000円 |
注意点、ポイント
生命保険料控除を受けるためには、「生命保険料の控除証明書」を添付して年末調整資料を事務の方に提出しなければなりません。これは社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除と同じです。控除証明書をなくさないよう保管しておきましょう(なくした場合でも保険会社に申請することで再発行してもらえます)。
また、生命保険料控除も未払いの保険料は対象外となりますのでご注意ください。基本的には、生命保険料控除証明書に記載されている金額をそのまま写せば大丈夫かと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回は、教員が節税するための手法として所得控除の活用ということで、「社会保険料控除」、「小規模企業共済等掛金控除」、「生命保険料控除」の3つについてご説明しました。この3つは、自分で計算する必要はありませんので年末調整の資料に漏れのないように記載していただければと思います。控除証明書も必要ですのでなくさないよう保管しておきましょう。